ネタバレの効用
自分のことを特異な人間だと主張したいわけではないけれど、大多数の人々と価値観が違うなと思うことがあります。
それが表題の通り、ネタバレ大歓迎!なところ。
ネタバレが気にならないどころか、ネタバレを見てから映画や本を鑑賞する方がむしろ楽しめるとまで思っています。
ネタバレの効用
映画を見終わった後、……つまりあの登場人物が言ったセリフはどういう意味だったんだ? とモヤモヤする人、いますよね?
出来事の時系列が分からなくなり、解説サイトを見る人、いますよね?
登場人物の相関関係が分からなくなり、相関マップを検索する人、いますよね?
推理小説で予想だにしない登場人物が真犯人だったと判明し、(だれ……?) となる人、いますよね?
(そんな経験ないという方はお引き取りください。あなたは頭がいいです。)
悲しいかな、私はそういった経験を繰り返してきました。
しかしネタバレを食らった後で鑑賞するとどうでしょう。
(あ、こいつが真犯人だからしっかり行動見ておこう!)
(今言ったセリフ、主人公に好意を持っているんだな!)
(今から地獄に落とすからこそ、ここで持ち上げているんだな)
(この人いい人そうに見えるけど裏では不倫してるからな。だまされるな!)
そんなことを心で思いながら鑑賞できるわけです。
つまり何が言いたいかというと、
ネタバレとは 鑑賞における重要なポイントを知ること であり、
すなわち、ネタバレを知ったうえで作品を鑑賞するということは、
重要なポイントを見逃さずに作品を楽しめる ということです。
ハリーポッターで例えると
以後ハリーポッターのネタバレが含まれるので、
ネタバレNGな方はお戻りください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ハリーポッターのスネイプ先生、
彼は物語におけるキーパーソンで、その真意は終盤でやっと明かされます。
それまで高慢で陰湿で嫌味な人間に見えるように描かれていたのに、実は二重スパイをしており、ハリーをずっと護っていることをハリー自身にも伝えない。
本心を隠し通す影の主人公です。
物語の終盤で彼の一途な思いが明らかになり、涙した人多いですよね。
スネイプ先生の生き様が露わになったところで、もう一度作品を初めから鑑賞する余力がある人、どれくらいいるのでしょうか。
伏線がそこかしこに織り交ぜられた作品なので、一回見ただけでは理解が追い付いていない場面もあります。
結末を知ったうえで再度鑑賞すれば理解度が深まりそうですが、なんせ長い作品です。
・・・結末を知ったうえで再度鑑賞すれば理解度が深まりそう……?
これこそがネタバレの効用です。
全く同じ映像を二回見るわけではないので間延びしません。
いわば、ネタバレは要約です。要約と本編は異なります。
要約を読んでから本編を読むと、本編だけ読むよりも理解度深まりますよね。
それがネタバレの効用です。
神様視点
ネタバレを知ったうえで作品を鑑賞することには、実はもう一つ効用があります。
それが 神様目線を味わえる ところです。
物語の最後にロンとハーマイオニーは結婚します。
しかしやっぱりこの物語の主人公はハリーなので、ハーマイオニーはハリーと付き合うんじゃないか、ロンはたぶんいい友達どまりだろう……
一話では多くの人がそう思うのではないでしょうか。
炎のゴブレットではお互いの好意が見えるものの、なかなかこそばゆい展開です。くっついてほしい、でも二人が恋心を自覚し素直になれる日は来るのか……
これが、ネタバレを知っているとどうでしょう。
「うーん、こそばゆい展開だけど大丈夫。この二人、結婚するから!」
絶対の安心感があります。だって結末知ってますから。
もはや二人の恋愛を見守る親の気分です。
全体を俯瞰して味わうことができるので、謎の優越感があります。
切り抜き動画もそう
最近Youtubeでは切り抜き動画がすごい伸びてきてますよね。
私もよく見ます。これもネタバレと同じような類のものだと思っています。
スピードを求められる時代において、切り抜き動画は重要なところをかいつまんで味わうのに最適です。
また切り抜きを見た上で、配信アーカイブなどを見ることもありますが、
切り抜きを見ていると「あ、この場面、切り抜きで見たところだ!」と気づくのです。
個人的所感
おそらく私はスピード感のある時代に慣れてしまったせいで、余韻に浸りながら同じ映画を何度も見たり、一度読んだ作品を何度も読み返すことができなくなっています。
一度の鑑賞で最大限作品を楽しむために生み出したのが、
”ネタバレを頭に入れたうえで作品を鑑賞する” という方法なのだと思います。
もちろん、ネタバレを入れずに味わった作品が一番心を揺さぶられます。
これは間違いないです。断言できます。
もし情報過多な社会で予期せぬネタバレを食らってしまい消沈している人がいたら、
こういう楽しみ方もあるんだよ と思ってもらえたら嬉しいです。